オーダーメイド作例:サンドリヨン(Cendrillon)

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作品紹介、今回は私が初めていただいた、「モチーフからのデザインオーダーメイド」を紹介させていただきます。

サンドリヨン(Cendrillon)

サンドリヨン(Cendrillon)

銘はサンドリヨン(Cendrillon)としました。

ご覧の通り、時計をモチーフにした作品です。

この作品を作ったきっかけは、お客様からのお問合せでした。

このイラストの背景の夜空と洋風の時計を意識させるデザインのデッキケースを作れませんか?(キャラクターは特に関係ありません。)

デレマスモチーフ

ご存じの方もおられると思いますが、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS」ですね。時計と夜空、すごくロマンチックなモチーフだと思います。(もし中央のキャラ、”渋谷凛”がテーマだったらどんなものになったでしょうか…?うーむ。。。)

ご依頼をいただいて最初に考えたのは、「夜空にぴったりな革」。実は、すぐにいいんじゃないかな?と思った革がありました。それが、今回採用した『ルガトショルダー』です。

ベルギーのタンナー(革加工業者)さんが作られている革で、深い艶と独特なトラ模様が特徴です。他にもいろいろ探しては見たのですが、心の中では、ほとんど即決でした。これまで自分では扱ったことはなかった革ですが、色々な方の作品をwebで拝見していたころ、このルガトショルダーを使った作品の深い艶に目を奪われました。レザークラフターの中には、この革だけをメインに作品づくりをしている方もおられるそうです。そのくらい、魅力のある革ということですね。

さて、革が決まればあとはデザイン。これも、割とすぐに固まりました。何案か考えたんですが、最初に思いついたのが今のデザインです。ストレートに時計アピールですね。蓋を外枠になぞらえたのが工夫でしょうか。この革の艶なら、きっと映えると思ったんです。それから、時計の時刻は0時手前。シンデレラなら、これかなと。

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また、装飾の時針や文字符は、本物の時計の部品を注文しました。これをうまく革に固定できるかが挑戦ではありましたが、接着だけでは難しいので、革裏から細く加工した糸で縛り固定しています。糸は、対摩耗性の高いナイロン製シニュー糸です。(レザークラフトでよく使う麻糸だと、擦れて切れてしまうので。)

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それから前面には縫い目が来ないよう、展開図にも気を使いました。時計のイメージに、縫い目がそぐわないと感じたからです。縫い目を活かす選択をすることも多いですが、今回は革表面の滑らかさを優先したかったのです。

ちなみに内部は、こんな感じです。

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革は裏表張り合わせなので、カードと縫い目が干渉したりはしません。

デザインまではインスピレーションのままに一気にすすんだ本作ですが、制作は大変でした。前面の糸処理にたどり着くまで2回、時計部分が完成したのに最後の仕上げで革を傷つけ作り直し、その後も納得いくまで調整。さらに蓋は構造やサイズ、本体とのバランスや曲線がうまくいかず、作り直すこと4回以上。このケースの完成までに、牛の右肩が丸々犠牲になりました。。

そんな苦労を重ねて出来上がった本作。依頼主さんにも本当に喜んでいただけ、クラフター冥利に尽きるお言葉を、たくさんいただきました。

今回の作品は、この依頼主様でなければ作れなかったと断言できます。最初の依頼の際には全面的にお任せいただき、デザイン案にもとてもうれしいお言葉をいただきました。他のご依頼も並行して舞い込んでしまい、最初のご相談から完成までに一か月もの期間をいただいてしまうことになったのですが、そういった状況に対しても非常にご理解を示していただいたおかげで、最後まで試行を続けることができました。そしてこうやって記事として紹介することに関しても全面的に肯定、いえ、強く応援していただきました。本当に、ありがたい出会いでした。この場をお借りして、心からの謝意を記させていただきます。

尚、本作品を「革工房月虹のラインナップ」として扱うことにもご快諾をいただけましたので、同様のデザインについてもオーダーをお受けできます。是非お問合せください。

また、今回のようなモチーフを持ち込んでのデザイン依頼についても精力的に取り組んでいきたいと思っております。好きな作品、自分のデッキ、どんなテーマでも挑戦させていただきますので、お問合せください。

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